セルフストレージソフトウェアで完全自動化の時代-ストーガナイズ社Miles Davison氏のインタビュー
UL:現在、Storeganise(ストーガナイズ)ソフトウェアにはセルフストレージ完全自動化のためのどのような機能やオプションがありますか?どのようなサードパーティとの統合が可能ですか?
Storeganiseでは、ストレージ利用開始の自動化に対応しています。セルフストレージ事業者は、新規顧客の利用開始までの作業をどの程度自動化したいかを決めることができます。全部を自動化することも、一部だけを自動化することも可能です。例えば、予約と請求だけを自動化したい事業者もいれば、顧客に来店してもらい物理的に書類に署名をもらう必要がある事業者もいます。そういう場合は、手続きを手作業で行いたいと考える事業者もいるでしょう。
完全に自動化された運営を求めるのであれば、Storeganiseのすべての自動化設定をオンにすることができます。すべての自動化設定をオンにすると、顧客がウェブサイトにアクセスすると、希望の施設をクリックでき、さらにユニットタイプを選択し、顧客情報、クレジットカード情報を入力し、契約書にサインします。すると、システムが自動的に顧客に請求し、該当するユニットを顧客が利用できるようにします。また、そのユニットに関するすべての詳細がメールで顧客に送信されます。事業内容によっては、入退室管理システムとの統合も可能です。そこでユニットへのアクセスコードを直接、顧客への情報メールに含めることができます。
顧客用の予約ポータルでは、顧客が予約を完了すると、「予約済みユニット」画面が表示されユニットを直接閲覧することができます。この画面で、ユニットとその位置をサイトマップで見て、店舗内のユニットの場所を確認することができます。また、アクセスコードも表示されるので、顧客はログインすることですべての情報を把握することができます。アクセスコードやユニットの位置を忘れてしまっても、ログインすればアカウント内で確認することができるのです。
UL:ストーガナイズではどのような入退室管理の種類や自動化ソリューションに対応していますか?
Storeganiseでは、10種類以上の入退室管理システムとの統合が可能です。実際、事業者が使っている入退室管理プロバイダーの能力に大きく依存します。現在、アクセスカードを使う企業もありますが、アクセスカードやキーフォブのような小さなトークンの欠点は、物理的に手渡さなければならないことです。自動化された施設を運営する場合には、理想的ではありません。そのため、現在ほとんどの施設では、管理が容易なPINコードで運用されています。また、 Noke のようにモバイル端末でアクセスできるシステムを採用する企業も増えてきています。これはBluetoothとNFCを使用して、顧客がユニットの近くにいることを検知し、ドアを開けて顧客を中に入れることができる仕組みです。
UL:ここ数年、セルフストレージ設備の自動化に向けた傾向やシフトは見られますか?
そうですね、多くの企業がより自動化されたソリューションに移行していることは確かです。特に新型コロナウイルスの影響で、自動化に抵抗のある企業が多くの申込をオンラインで行えることに気づきました。顧客は、簡単なソリューションを求めています。 理想を言えば、すべてをオンラインで行い、複雑なマニュアル化された文書作成プロセスを経ずに、すぐに利用開始できることを望んでいます。そういった経緯から自動化は間違いなく増加傾向にあります。
多くの企業が設立にそれほど多くの資本を必要としない小規模な店舗を続々と立ち上げていますが、多くの人材を各店舗に配置するほどの予算はありません。そのため、小規模店舗において、人件費を必要としない自動化の促進は、より理にかなっているのです。
UL:セルフストレージの既存設備をより自動化された設備に移行・改修する場合、事業者はどのような落とし穴を想定しておくべきでしょうか?
まず事業者は、その完全自動化された利用開始までのプロセスを顧客に提供するために、適切な入退室管理システムを確保する必要があります。それがなければ、実現できませんからね。ストレージのオンラインでの賃貸を考えているけれど、 Noke のような各ユニットごとに自動ロックが搭載されていない場合、新しい人が入らないように空きユニットを保護するソリューションが必要になります。 例えば、誰かがオンラインで申し込みし、店舗エントランスを通るためのPINコードを取得したとします。ここで、すべての空きユニットが開放されていたら、誰でも簡単に入ってきて複数のユニットに侵入することができてしまいますよね。そこで、各ユニットに固有のコード付きパドロック(南京錠)を設置するのが効果的なソリューションになります。顧客は南京錠のコードを受け取り、自分のユニットに着いたら南京錠を外し、指定のボックスなどに入れるだけです。その南京錠は、次の顧客のためにまた使うことができます。この南京錠を管理するために、StoreganiseではRubikというシステムと統合しています。これが大きなポイントですね。このような前提条件が整えば、利用開始手続きを自動化するのは本当に簡単なことです。
UL:セルフストレージ店舗規模が大きくなるほど、ドアや鍵など必要な設備を改修するための初期費用がかさむと思いますが?
そうですね。そこで、Rubikのようなソリューションが威力を発揮します。そうすれば、すべてのドアを付け替える必要はなく、ユニットには従来の南京錠を使って、顧客にアクセス権が与えられるまで施錠しておくことができるからです。
さらに、ユニットレベルまで自動化されたロックを提供する入退室管理プロバイダーも、コストへの影響が大きいことを認識しています。必ずしもドア全体を交換する必要はなく、錠前だけを交換するソリューションも増えてきています。業界が進歩するにつれて、新しくワクワクするようなソリューションが登場し、より簡単な導入が可能になり、当たり前のことになると思っています。
UL:余計なアプリをダウンロードしたり、スマートフォンを使うことを警戒する顧客もいると思いますが、簡単に導入できるローテクなセルフストレージソリューションもたくさんあるのですね。
私たちのクライアントには、さまざまなサービスを利用している人がいます。新築の場合は、NoKeのように各ユニットに独自の電気錠システムを搭載した、より完全自動化されたソリューションに注目する傾向があります。別途アプリをダウンロードする必要がありますが、私たちのクライアントを見てみても、クライアントの顧客からの反発はあまりありません。顧客は、そのソリューションがあることにメリットを感じているのです。しかし、RubikやDaVinciのロックのように、高価なハードウェアを必要とせず、従来の南京錠を使うだけのソリューションもあります。顧客もアプリをダウンロードする必要がなく、その南京錠を本体から取り外すだけでいいのです。セルフストレージ事業者にとっては、移行がずっと簡単になり、価格もずっと手頃になります。
UL:ストーガナイズのクライアントがどのようなプロセスを経て自動化へ移行したのか、その事例をお聞かせいただけますか?
新しい店舗の事例ですと、オーストラリアのある会社と連携しています。彼らはStoreganizeとNoKeを使い、すべてを完全自動化し、リモートで運営しています。現場にスタッフはいません。評判は上々ですね。携帯電話からアクセスを管理でき、コードなどを覚える必要がないので、このようなソリューションが好まれているようです。ただし、これはすべて新規立ち上げの場合だったからです。
自動化ソリューションに改修、移行しているお客様を見ると、部分的な導入が多いですね。施設の一部を自動化し、顧客からの評価を確認するのです。大規模な施設では、全戸に自動ロックを導入することの費用便益を判断するために、このようなアプローチをとることが多いようです。多くの施設では、メインエントランスに既存の入退室管理システムがあるので、すぐに導入できるユニットごとに南京錠を追加するというシンプルな方法が人気です。ヨーロッパ、アメリカに比べ、アジアではまだ少し抵抗があるようですが。顧客と直接会って話をしなければならないと思っている企業もまだあります。あるいは、オンラインで簡単に価格がわかるようにすることで、顧客を逃してしまうと考える企業も多いです。しかし、成熟した市場ではすでにそれが当たり前になっていることを目の当たりにして、こうした企業の考え方も変化してきているのだと思います。
UL:スマートロックによる自動アクセスは、これまでのやり方を一変する、セルフストレージ業界の破壊者であったと言えますが、顧客とのやり取りやバックエンドで、セルフストレージのあり方を大きく変えるような次のトレンドは何だと思いますか?
セルフストレージを利用したことがない人や、セルフストレージ市場があまり発達していない国では、新規顧客にとって、どれくらいのスペースが必要かを理解してもらうことが最大の課題です。アメリカでは、ストレージがより一般的であるため、人々はユニットの大きさをよく理解しています。しかし、そうでない場合、自分たちにどれだけのスペースが必要なのかを知らないことが多いのです。Calcumateやその他のスペース計算機のようなソリューションは、そのプロセスを合理化するのに重要です。セルフストレージ業界に特化したチャットボットサービスを提供しているSwivlという会社では、AI技術を採用したより自動化されたソリューションで顧客が必要なものを特定し、チャットから直接予約プロセスに進むことを支援しています。企業がより多くの店舗をオンライン化する際に、次に考慮しなければならない重要なことはこういったことだと思います。将来的には、AIや拡張現実などの技術をもっと活用することになると思います。その体験は、本当に面白いものになるかもしれません。
ソフトウェアの観点では、契約までのプロセスだけでなく、ストレージビジネスでの経験全体を通じて、いかに顧客をサポートできるかということだと思います。利用者にサービスのアップセルをしたり、退去を自動化したりするのです。自動化フローを構築することで、利用者を単に退室させるだけでなく、別の選択肢を提示、誘導することができます。例えば、より狭いスペースが必要な場合であれば、大型ユニットから小型ユニットへの移動を自動化することで、その顧客を維持することができるのです。
自動化といっても、事業者が手作業でやらなければならないことはまだたくさんあります。ソフトウェアプロバイダーも、何をどのように自動化し、運用の流れをどうしたら更に合理化できるかを検討する機会がもっとたくさんあるはずです。 申込や利用開始時のプロセスだけでなく、移行や退室、アップセル、さらには請求プロセスなども検討できるでしょう。
特にアジアのような地域では、まだ手作業での決済が多く、自動化された決済ソリューションに移行することに消極的な企業が多いです。クレジットカードの手数料が不利だと感じているようですが、支払いの受付や管理といった手作業の影響、あるいは顧客減少の影響に気づいていないのでしょう。たとえそのような取引に費用がかかるとしても、決済フローを自動化することは、事業者と顧客双方にとってより大きなメリットとなります。フローが効率化されるだけでなく、利用料を滞納している顧客を管理することも重要です。顧客にアクセス権を与えるだけでなく、未払いであればアクセス権をはく奪することも必要になります。それを自動化し、入金確認後に再度アクセス権を付与することができます。例えば、支払いが滞っている顧客がいるとします。このような場合、システムでユニットをロックしておき、利用者がスマートフォンで請求額さえ支払えば、人手を介さずにロックを解除しアクセス権を再度付与することができます。このプロセスを自動化することで、支払い期限切れや料金滞納の利用者を減らすことにもつながります。
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