ヨーロッパにおけるセルフストレージの可能性:起業家Alberto Serrano Rivas氏へのインタビュー

Unwired Logic: まずは、ご自身と経営されているセルフストレージ事業について紹介していただけますか?


スペイン人で起業家のアルベルト・セラーノです。 大学を卒業してすぐに最初のビジネスを立ち上げました。 成功や失敗を重ねながら、現在はセルフストレージと不動産に力を入れており、 マラガという都市で賃貸住宅を経営しているほか、セルフストレージも数か所で運営しています。 マラガには空港があって交通の便が良いため、リモートワークや定年後の穏やかな生活を目的とした人々がヨーロッパ中から集まってきます。 このブームのおかげで不動産価格が上昇したため、セルフストレージ事業のチャンスも生まれました。 私は妻と共に2013年にセルフストレージ事業を始め、 今はマラガ周辺に5つの店舗があります。

Unwired Logic: ヨーロッパ、そしてスペインにおけるセルフストレージ事業の現状は?

ヨーロッパのセルフストレージは、いわば幼い子供のようです。ティーンエイジャーにもなっていません。 それくらい伸びしろがある状況で、機関投資家もまだいません。 ヨーロッパのほとんどの対都市圏では、一部例外を除いて、供給よりも需要の方が圧倒的に多いです。 しかし、このビジネスは、非常に地域密着型であるため、人々は供給量の多い安い場所に車で20分かけて行くよりも、料金が高くても家の近所のストレージを利用したいと考えているのです。
ヨーロッパ市場は、まだ企業の統合が進んでいません。 大手企業を見ても、企業を買収するよりもゼロから店舗をオープンすることの方が多いです。 進市場だと、競合他社の買収がもっと積極的に発生します。 大都市や首都ではセルフストレージ事業が展開されていますが、 人口20万人から500万人ほどの中規模都市では、まだまだ多くの可能性と成長の余地があると思います。

Unwired Logic: スペインはどうですか?


スペインには、マドリードとバルセロナという人口500万から600万人の大都市がありますが、住宅市場には非常に大きな圧力がかかっています。 特にバルセロナでは住宅探しが難しく、新しいホテルの開発や賃貸政策が厳しく制限されています。 住宅価格の上昇は常にセルフストレージの需要増につながり、この2都市は最も成熟した市場と言えます。 しかし、それ以外の地域や都市では、競争がほとんどないので、 そういった地域で最初に事業を展開すれば、先行者利益を得ることができます。
しかし一方で、顧客の教育が必要になります。 セルフストレージにかかるコストや仕組みについて何も知らないからです。 それを説明する努力をしなければなりません。

Unwired Logic: 欧州セルフストレージ協会(FEDESSA)について聞かせてください。どのような活動を行い、どのように会員をサポートしているのですか?

ヨーロッパの人口は7億人で、アメリカの2倍以上ですが、 40以上の国に分かれており、それだけの言語が存在します。 その多様性は素晴らしいのですが、共通の言語がないのは事業を展開する上でネックになります。特に地中海沿岸では英語の識字率が低い国もあります。 通貨もすべての国や地域で共通ではありません。 ヨーロッパに住む誰もがユーロを使っているわけではありません。 ヨーロッパの国の中には、いまだに渡航の際にパスポートが必要な場合もあります。 なかでも最大の問題は、共通の政策や規制がないことです。 例えば、建物の下に倉庫を設けることが許可されている国もあれば禁止されている国もあります。 そのような政策や規制に関する情報がまとめられていないのも、投資家が市場に参入しにくい要因と言えるでしょう。
各国には、大体その地域独自の協会があり、カンファレンスを開いたり、会員のサポートを行っています。しかし、必ずしも英語に翻訳されていたり、英語対応が可能なわけではないので、協会への参加や情報の流れが制限されているのが実情です。 私たちは年に一度、様々な国の会員との交流の場として全欧カンファレンスを開催しており、今年の開催地はロッテルダムで、 1000人の参加者を目標に掲げています。 世界で2番目に大きなセルフストレージのカンファレンスになります。 今年のテーマは2つ、「AI(人工知能)」と「遠隔管理施設」です。

Unwired Logic: 次の質問は、まさにその2つのテーマに関係してきます。ヨーロッパでは、セルフストレージ管理の自動化は進んでいるのでしょうか?

基本的には2つのタイプの店舗があります。営業時間中に人員を配置して人によって管理する店舗と、本社から遠隔で中央管理される自動化された店舗です。 私たちのビジネスに完全自動化はありえません。 少なくとも週に1回は誰かが店舗を訪れてチェックしたり清掃したりする必要があります。 大きなビル型店舗を開く投資ファンドは、たいていの場合有人管理を選択しますが、 小規模な店舗を運営する事業者では、中央管理された無人店舗が一般的です。 私たちが今計画している新しい店舗は、中央管理型の無人店舗になる予定です。

ヨーロッパの多くの地域では、セルフストレージはまだ目新しいものなので、企業は有人店舗を選ぶことが多く、 契約前に直接顧客に会って説明や案内をする必要があります。 私たちもそのためにオフィスを用意しました。

Unwired Logic: 最後に、 セルフストレージ事業への参入を考えている企業にアドバイスをお願いします。

店舗となる建物の契約を結ぶ前に、その地域に需要があるかどうか知るために広告を出すことをお勧めします。 何人がその広告をクリックし、興味を示したのかを見るのです。 そして、事業を段階的に成長させることです。 最初は80~100部屋位から始め、 7、8割が埋まったら、第二段階として更に100部屋増やす、という感じです。 そうすることで、需要のあるサイズを素早く理解することができ、必要な時にお金を費やすことができます。

Previous
Previous

5 Tips for Data Driving Your Self-Storage Success

Next
Next

CRM(Zendesk)とPMS(Storeganise)の統合によるセルフストレージ管理